Fear and Pleasure
★「生物学的な恐怖反応は非常に複雑であ り、扁桃体から前頭葉まで、さまざまな脳領域に影響を与える神経伝達物質とホルモンが関係している。……われわれの体は、恐ろしいものに対して、闘うか逃 げるための準備をするよう進化してきた。具体的には、瞳孔を広げてものがよく見えるようにしたり、気管支を広げて酸素を多く取り込めるようにしたり、血液 やブドウ糖を重要な器官や骨格筋に送り込んだりする。」
☆「アドレナリン、ドーパミン、コルチ ゾールは、人間が脅威を感じたときに放出する3つの重要な物質……。危険を察知すると、アドレナリンの放出によってわれわれの「闘争・逃走反応」が引き起 こされる。これによって心拍数、血圧、呼吸数などが高まる。……ストレスホルモンであるコルチゾールは、体のさまざまな機能を調節するために常時放出され ている。しかし、何らかの状況や経験を乗り越えようと緊張したときには、その量が一気に増える。……コルチゾールは、まずアドレナリンなどの「闘争・逃 走」ホルモンが一気に放出された後も警戒が維持されるのを助ける。また、緊急事態の最中に、肝臓からエネルギーとなるブドウ糖(グルコース)が放出される のを促す。(コルチゾールのレベルが慢性的に高い状態は身体によいわけではない)。……アドレナリンとコルチゾールは、どちらもストレスと関係がある。ス トレスは、胸痛、頭痛や震え、疲労、筋肉の緊張といった身体的な症状のほか、いらつき、パニック発作、悲しみといった感情的な症状(を起こす)。ドーパミ ンは、より全般的に良い気分をもたらす神経伝達物質だ。これは喜びや、報酬の期待や経験などに関連しており(これが、恐怖の後の高揚感と関係しているかも しれない)」
「恐怖の対象が目の前から消えて初めて ドーパミンが放出されるわけではない。報酬への期待感があれば放出される……。薬物依存症の患者は、目当ての薬がまだ手元になくとも、それを追い求めてい る最中に、ドーパミンによって高揚感を経験する(のではないかと考えられている)」.
☆アドレナリンとは?
「アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎 というところの中の髄質から分泌されるホルモンです。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがあります。 自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まります。その結果、主な作用として、心拍数や血圧上昇が上昇し、体のパフォーマンスが高まります。 また、覚醒作用があり、集中力や注意力も高まります。アドレナリンが分泌されることにより、目の前の恐怖や不安に対して、体と脳が戦闘モードに切り替わ り、立ち向かうことができるのです。」
☆ノルアドレナリン
「ノルアドレナリンは、脳内の神経伝達物 質、自律神経の神経伝達物質、副腎髄質から分泌されるホルモンとしての3つの役割があります。 ノルアドレナリンの分泌を促すものは、痛み、かゆみ、寒暖差、人間関係などのストレスがあります。アドレナリンと同じく、目の前の恐怖や不安に対して、体 と脳が戦闘モードに切り替わり、立ち向かうことができるのです。そのため、集中力を高めたり、積極性な行動を起こすことにも役立ちます。 ノルアドレナリンが不足すると、やる気や集中力が低下してしまいます。また、逆にノルアドレナリンが過剰に分泌されると「パニック障害」を引き起こす原因 になるといわれています。」
「ノルアドレナリン系における変化 は憂うつに関係する。SNRIは、脳内のシナプス後細胞で、利用可能なセロトニンとノルアドレナリンの量を増加させることによって、うつを治療する。最近 はノルアドレナリン自己受容体がドーパミンも再取り込みするかもしれないという仮説では、これはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害 薬: Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors; SNR)がドーパミン伝達をも増加させるかもしれないことを意味する。 一部の他の抗うつ薬[注釈 1]もまた、ノルアドレナリンに影響する。いくつかの場合、他の神経伝達物質に影響しない[注釈 2]。ノルアドレナリンはアミノ酸チロシンから一連の酵素反応を経て合成される。最初のレボドパ (L-DOPA) への酸化の後に神経伝達物質ドーパミンへの脱炭酸が続き、ドーパミン-β-モノオキシゲナーゼによりノルアドレナリンへ酸化される。さらにノルアドレナリ ンはアドレナリンへメチル化できる。」.★アドレナリンとノルアドレナリンの違い
「ノルアドレナリンとアドレナリンの最も 大きな違いは、脳への精神的な作用の有無です。ノルアドレナリンは、脳内で神経伝達物質として分泌されるため、恐怖や怒り、不安などの精神的な作用にかか わっています。一方、アドレナリンは脳内ではほとんど分泌されず、また、副腎髄質で分泌されたアドレナリンは血液脳関門を通過することができないため、精 神的な作用には関与していません。 ノルアドレナリンは神経伝達物質、アドレナリンはホルモンとして紹介されていることがありますが、これは分泌量や作用として主に働く場所を指しているため です。」
☆ドーパミンとは
「ドーパミン(英: dopamine)は、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意 欲、学習などに関わる。セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンを総称してモノアミン神経伝達物質と呼ぶ。またドーパミン は、ノルアドレナリン、アドレナリンと共にカテコール基をもつためカテコールアミンとも総称される。統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)は基底核や中 脳辺縁系ニューロンのドーパミン過剰によって生じるという仮説がある。この仮説に基づき薬物療法で一定の成果を収めてきているが、一方で陰性症状には効果 が無く、根本的病因としては仮説の域を出ていない。覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。強迫性障害、トゥレット障 害、注意欠陥多動性障害 (ADHD) においてもドーパミン機能の異常が示唆されている。中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習など に重要な役割を担っていると言われている。新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ドーパミンなどの脳内化学物質が必要になる[5]。陰性症状の強い統 合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1の機能が低下しているという仮説がある。」.
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文献
その他の情報
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